フィットネス業界動向:低額~高額クラブのゆくえ

スポーツクラブの現状

前回の記事にてフィットネス業界は2022年以降3極化の道を顕著に歩んでいると書きましたが、今回はその3極化が今後どのようになっていくかを考察していきます。

コストの低額・中額・高額により3極化が進んでいく流れは今後も変わらないですが、出店コストや集客力から見てどのようになっていくのかを考えます。

■出店コスト

低額クラブ<高額クラブ<中額クラブ

現状の出店ペースとして勢いがあるのは低額クラブ。
出店ラッシュと言えるぐらいに至る所で出店がなされています。前回でも述べたように参入障壁が低いため、場所さえ抑えられればどこにでも出店できる気軽さと専門知識がなくてもできるという手軽さによるものです。それとは正反対なのが中額クラブの総合スポーツクラブ型。現状では出店が鈍っています。コロナ下での経営により赤字にあえぎ、出店コストが賄えない状況だからです。低額ジム特化型のイニシャルコストは全てテナントに入るパターンなので建設費がかからず、マシン等のピンキリありますが、抑えれば1,000万円弱からでも可能でフリーウエイトのみであれば更に抑えられます。しかし、総合型スポーツクラブは建設費からマシンなどトータル見積もると小さい館で5億円、大きくなれば10億円とかなりイニシャルコストの桁が変わります。プールやスパなどの水回りが加わるとコストは跳ね上がります。その為、コストを莫大にかける以上はそこで出店して必ず黒字化させる必要があり、利益を還元できる選りすぐりの場所に出店させる必要があります。尚、高額クラブに関しては内装が豪華ですが、実は低額クラブをよりよく魅せたものが多いのでイニシャルコストとしてはそこまではかかりません。

■集客力

中額クラブ<低額クラブ<高額クラブ
こちらは施設面積とアイテム数、コストを掛け合わせたもので比較しています。
当然面積数が広ければ集客できる人数は多くなりますし、アイテム数が多いという事は選ぶことができる、そしてそれに対するコストを見た時に集客力の力関係を表しています。
 中額クラブは面積・アイテム数はトップ、コストは中間なので最も集客力が高くなり、少額クラブは面積・アイテム数は絞られていますが、絞られているからこそ低額コストになり、無駄なサービスが不要な方向けの為、特定のニーズに応える力があります。高額クラブは面積・アイテム数が絞られ、且つコストは高いのでニーズとしては低額よりも少なくなりますが、個別制など手厚いサービスがウリの為そこにニーズを見出す方には応えられます。

■世の中の情勢としては

低額クラブ<中額クラブ<高額クラブ

最も大切なのが世の中の流れです。現状では様々なコスト高が起こっています。そのため生活必需品や日々のご飯にかかるコストが想定以上にかかってしまっており、それでいて給与は上がっていないというミスマッチが起こっています。お財布事情としては厳しくできるだけコストを抑えたいというのが世の中の流れとなります。そうすると強みを持つのが低額クラブや中額だけど低額に近い価格で運営しているクラブがこのニーズを捉えます。

しかしながら、、、

そう簡単にならないのがこの業界なのです。
どんなにニーズが合致しようとも、サービスを受ける需要側にとって最重要なことがあるのです。

■効果を得るための最高のコストパフォーマンス
どんなの施設が大きくても、どんなに価格が安くても


最終的にサービスを利用される方が目的とされる効果を出すことができなければ
選ばれないのです。

要は目的達成できて、且つコストも安ければ最もいいよね、ということ。
なので、若年層や中年層でトレーニング経験がある人やプールに通わなくても十分な方は低額クラブにいくだろうし、トレーニング初心者はジムの指導が受けられ、中高年層は老化が始まり膝腰が痛くなりはじめた方はプールがある中額クラブへ、元々収入が高い層の方は高額クラブへと振り分けられます。

■今後の予測

それぞれのニーズとコストパフォーマンスに応じたクラブが選択されることを考えると
高額クラブは一定のニーズがあることを考えると数は増えないけど一定数は存続すると考えられます。
次に、低額クラブは出店ラッシュが続いていますが、実は既にあるエリアでは閉店している所もありエリア特性に応じて淘汰されていきます。低コストで出店できる強味として解説していませんでしたが、実は閉店も容易にできるのも強みなのです。コンビニエンスストアのようなものと考えればよいでしょう。最後に中額クラブについては当面出店は控えられます。大手も経営面を立て直さなければ出店できないので。そして、施設老朽化と低額クラブ出店に伴う売上微減により緩やかに店舗数が減り、大手も再編が進んでいくことになると思います。中額クラブの泣き所は、イニシャルコストもかかれば、ランニングコストもかかる所なのであらゆる年齢層から集客できないと経営としては成り立ちにくいという特性があり、若年層だけでも低額クラブにとられると経営的にはやや苦しくなるのです。

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