2020年のコロナスタートから2年経過し、コロナの衰退と共に景気は上向きになると言われ続け、その都度コロナが猛威を振るっては経営状況が右往左往しているのがこの業界です。22年上半期(22年4月~9月)は日本では比較的コロナが落ち着いており、クラブは入会者数が増え在籍数が増員した施設も多かったのではないでしょうか。そういった意味では4月から6月は比較的良かったのですが、7月から再度コロナ第7波により入会が鈍化し苦戦している施設が多いと感じます。フィットネス業界は4月~6月、1月に会員数を確保しないと厳しいのが常ですが、それ以外の時期で退会数予想以上に多くなってしまうと経営を圧迫して厳しい状況になるので、7月から続く第7波、そして冬に猛威を振るうウイルスにより22年下半期(22年10月~23年3月)はより厳しくなるのではないでしょうか。
このようなフィットネス業界において今後の見通しとして、3極化していくと思われます。
3極化の軸となるのは「価格」です。
低・中・高額会費に分かれると思います。
【低額クラブ】マシン特化型ジム
接客サービスはほとんど無し、筋トレマシンのみ設置というパターンのものです。
これが伸びているのは何といっても参入障壁が低いといった点が挙げられます。
今までの総合スポーツクラブは実は参入障壁が高く、その要因となっていたのがプールの存在でした。
スポーツクラブというと三種の神器としてトレーニングジム・スタジオ・プールがあり、実はプールが
参入障壁を高くしていました。プールは水回りの施設の中でも巨大で、建設にかかるイニシャルコストとランニングコストが莫大にかかってしまいます。その点をカットしたのがジム特化型施設になります。何故、今までジム特化型が出てこなかったというと実は出てきてはいましたが、いまいち伸びませんでした。
その理由は2点あり、一つはこの業界の流れとしてそもそもがスイミングスクールからできた業界だったというのが挙げられます。50数年前にピープルさん、セントラルスポーツさん、日本体育施設運営株式会社(スポーツクラブNAS)さんにより受託スイミングからスタートし、トレーニングジム・スタジオが付帯してきたという流れがあり、その流れの中でプールというのはスポーツクラブでも必須のものという固定概念がどうしても世の中的にも抜けなかったというのが挙げられます。
そして、もう1点は単純にトレーニングジムだけでは流行らなかったのが挙げられます。ようやく昨今一人で筋トレというニーズができてきましたが10年前にはそんな風潮は全くと言っていい程になかったのです。一部のボディビルダーの人には人気でしたが・・・。それが徐々に筋肉隆々だけでなく、やや引き締まったスマートマッスルなカラダに人気がではじめてようやくジム特化型が認知され、低コストで目当てのアイテムだけトレーニングできるとしてニーズが合致し大衆化したというわけです。
【中額クラブ】総合スポーツクラブ
定番のザ・スポーツクラブです。ここは数も多いゾーンになるので当然残っていきます。
強みは、なんといっても総合型なのでトレーニングジム・スタジオ・プールがあることです。多くの年齢層に対応できる施設であり、そのサービスにも注目されます。特にこれからの時代は高齢化社会なのでジム特化型と比べてプールがあることが最大の強みです。又、大勢で楽しめるスタジオ・プールといったコンテンツにも注目です。
弱みとしては、施設が大型なので年数が経過した所はメンテ費用が莫大にかかってきます。
リニューアルを定期的に5年、10年と行ってきている所は安定した経営がされている所と判断しますがリニューアルされていないクラブに関しては不備が多くなり経営が厳しくなってきていることが徐々に現場に現れてきます。メンテにどれだけ費用をかけているかが一つのポイントになります。コ〇ミさんが2000年初頭に打ち出したエグザスブランドにより出店攻勢を強めて多くの店舗を開業しましたが10年以上が経過して関西エリアをはじめ大規模な閉店を余儀なくされていますので、施設寿命としては15年~20年といったところになると思います。又、これは名前は明かせませんが某大手のスポーツクラブでは建設費用をかけずハリボテのような施設、さらにメンテ費用を極力かけず営業利益率を高く保っている所もあります。今は良いのですが数年後は大惨事になっていることでしょう。逆に建設費用を高くして頑丈な施設を建てるスポーツクラブもありますが、使うごとに古びていくことを考えると建設費用は程ほどにしてランニングコストを極力抑えてリニューアルを重ねるのが営業利益的にも顧客満足度的にもベストかと思います。
【高額クラブ】サロン型少数会員制クラブ
強みは、とにかく顧客サービスに特化されていることです。何不自由なく且つ効率的にトレーニングできるクラブです。パーソナルトレーニングはもちろん、エステなどありとあらゆるサービスが付帯するので要望を伝えれば、そのようなカスタマイズされたサービスが受けられます。また立地についても駅近というよりも車でアクセスしやすい場所で秘匿性の高いクラブが多い状況です。
弱みは、高額なことであり、会員制でもそのクラブが経営できる価格に設定されるため、まさに少数会員が出資してクラブを支えていると考えるのが良いかと思います。
以上、3極化するクラブとなります。又、今後伸びそうな3極化されたクラブとは違ったものもありますが、そちらについては機会があれば記載させていただこうと思います。パーソナルトレーニングとは若干離れましたが、現在のフィットネス業界の流れについて記載しました。今後も何かあれば追加記載させていただきます。次の記事では、この3極化が如何に生存競争をかけて戦っていくのかを書いていきたいと思いますので是非期待ください。
コメント